【連載】いくつになっても男と女①
その1 「高齢の父親がデリヘルに行くのは悪いことなのか?」
■「90を超えた父に女がいる。それがデリヘルだった件」
父親がスマホ操作に四苦八苦して、ヘルプを求められた彼女。あれこれ操作していたら、
「着物姿で来てくれるとうれしいけど、ダメですか?」
「いつもの鏡の間で待っています」
「会いたい」
「愛しています」
といった、怒涛のねっとりしたやりとりを発掘し、激しく動揺。背筋が凍ったと言う。高齢の親御さんのエロに触れてしまった困惑は容易に想像できる。長年、尊敬してきた父親のそんな一面をなぞ、知りたくもなかったはず。
しかし、あくまでも当事者ではなく客観的な感想としては、90代でお元気なのはすばらしいと思う部分もあった。
彼女の父親は数年前に愛妻に先立たれ、その後は一人暮らし。本人が望み、お子さん家族が住む近隣に移住。娘さん家族と頻繁に行き来しつつ、介護サービスを利用しながらであるが、自立した生活を過ごしていた。
とはいえ、高齢になってからの男やもめの一人暮らし。家事など上手にできる訳もなし。むなしさやせつなさが募っていたのではないか。そんな心の隙間を埋めるため、自身のお金でデリヘルを利用したところで、いったい誰が責めることができるのか?
■性的意欲は生きる意欲と相関している
英雄色を好むと言うが、70代、80代になっても社会的にアグレッシブに活躍している人は、男女ともに男性ホルモンであるテストステロンが高く、長生きすることも医学的にわかっている。
セックスするしないにかかわらず、性欲的意欲が高い人は、元気でやる気がある。ゆえに積極的に外出し、人とコミュニケーションもとれる。体も脳も動かし、健康で認知機能も保たれて、健康寿命も長い。こういったプラスサイクルになると想像できる。
海外に目を向ければ、いくつになってもセックスレスは離婚の原因になる大問題となる。性的意欲が低下した際には、女性は自ら病院へ行き、男性側もパートナーへの受診をすすめ、「性機能障害」と診断がつけば、その原因に合わせた治療が行われる。
一方、日本の夫婦の半数以上はセックスレス。妻の性欲が落ちたとしても、病院へ行くような夫はまずいない。ましてや、妻が自ら病院へいくのは超少数派。それどころか高齢になってセックスの話をすると、「きもっ」「色ボケ」「年甲斐もなく」と後ろ指をさされてしまうだろう。
「食欲は良くて、性欲は悪いのか!?」「風俗へ足を運ぶ高齢男性は何を求め、そして、いったいどんなサービスを受けている?」「ほんとにできるの??」。そういった疑問がむくむくと湧きあがり、私はどうしても知りたいと、風俗嬢A子さんを探し出しアプローチ。すると取材依頼を快諾していただいた。次回からそのレポートをお届けする。