中高年女性の性行動の4パターンとその対策
中高年女性の性行動パターンについて
中高年女性の性行動のパターンは次の4つのファクターで規定されます。
1.性規範の強さ
2.性的学習の習熟度
3.男性ホルモン値(テストステロン&DHEA)の高さ
4.GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)症状の程度
1. 性規範の強さとは、家庭や社会による掟(オキテ)を破ってはいけないとどのくらい強く思うかということです。
2. 性的学習の習熟度とは、セックスの技能をどのくらい学習したかということです。セックスにはスポーツ的な面があり、楽しいセックスをするためには、ある程度練習が必要です。質のよいセックスを回数多くした人のほうが、楽しいセックスができる可能性が高くなります。
3. 男性ホルモンには、いくつかの種類がありますが、性的意欲を高める代表的な男性ホルモンには、テストステロンとDHEAがあります。
4. GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)は、閉経による腟萎縮によって引き起こされる諸症状のことです。性交痛は代表的なGSMの症状です。そのほかに陰部の乾燥・違和感(イガイガ感)、尿トラブル(再発性膀胱炎・頻尿・尿漏れ)、性交痛や性交後出血とそれに伴う性的意欲の低下等の症状も起こります。50歳以上の50%の女性に、これらのなんらかの症状が起こるとされています。GSMが重症だと性機能は低下します。
(パターン1)性生活卒業タイプ・・・日本の中高年女性の約30%
~今後一生セックスは、もうしないと考えているタイプ~
・性規範(高)、性的学習(低)、男性ホルモン値(低)、GSM症状(高)
・特徴的な発言
・“二夫にまみえず” “子供を産んでから、セックスに興味なし”
・“夫とは、お友達(もしくは同居人)” “女友達と楽しい人生”
⇒バターン1の人は、セックスをしなくても充分に楽しい人生を送っています。このような人は無理にセックスする必要はありません。今の生活を存分に楽しんでください。
(パターン2)性生活修了タイプ・・・日本の中高年女性の約40%
~現在はセックスはしていないが、条件がそろえば再開したいと考えているタイプ~
・性規範(中~低)、性的学習(低)、男性ホルモン値(高~中)、GSM( 高~中)
・特徴的な発言
・“夫とはセックスしたくないけど、いつか素敵な彼ができたらフォールインラブしたい、その時はセックスもできるようしておきたい。“
⇒まずは、一度はパートナーと対話してみることをお勧めします。現実には、中高年になって次の素敵な彼ができる確率は若い時に比べると低くなります。もしかするとパートナーは、自分の過去の言動を悔いて二人の関係性を修復したいと思っているけれど、そのことを素直にあなたに告白できない状態なのかもしれません。まずはあなたがパートナーとの対話のきっかけを作ってあげると、二人の関係性がすみやかに改善することがあります。
対話をこころみてみても、やっぱり無駄だという結論がでたら、いつかその時のためにGSMケアだけはしっかりして、次のチャンスを待ちましょう。
重要なエイジドフェムケアは二つです。
1つ目は、フェムゾーン(腟と外陰)の保湿です。1日1回は入浴後、全身用保湿クリームをフェムゾーンに塗りましょう。
2つ目は、骨盤底トレーニングです。
肛門と腟・尿道をギュと締めて、胃のほうに持ち上げて、3秒~10秒維持します。これを3~10回繰り返します。保湿の際に人さし指と中指を第二関節くらいまでいれて保湿剤を塗るとともに、その指を腟で締め付けてその指を持ち上げるようにしてみてください。それが正しい骨盤底筋収縮です。
パートナーとのセックスを再開したり、新たなパートナーと出会えた場合には、今からでも遅くありません。楽しいセックスの練習をしましょう。
以下ようなことに気をつけましょう。
✓セックスしたい時はしたいといい、したくなければしたくないと言う。
✓どこをどう刺激されると気持ちよいか、またはどこをどうされれば気持ち悪いかを自分で認識して、しっかり相手に伝える。(一般的には、女性の性感帯は、乳頭・クリトリス・腟の前壁・子宮の奥裏(後腟円蓋)です。そこを集中的にやさしく刺激して、オーガズムの波を探ります。)
✓まず自分が楽しみ、その後パートナーを楽しませるという順番を意識します。
女性が大きな性的満足を得るためには、男性より時間がかかります。自分はもう満足したと思って、パートナーが楽しむ順番になっても、しばらくしたら自分がまだ満足できていないと感じるならば、パートナーには射精は待ってもらって、もう一度自分が楽しむ番に戻してほしいと言えるパートナーとセックスしましょう。
✓成熟女性と付き合うパートナーは、成熟男性である場合が多くなりますが、
日本の男性の中には、EDぎみになると自らセックスを避けてしまう人がいます。ED治療も大切ですが、セックスを望まれたら完璧ではなくても彼女の要望につきあう努力をするという姿勢も大切です。たかが挿入、されど挿入ですが、不完全でもお互いに楽しむようにするとより親密感がアップします。
(パターン3)性生活継続中(Aタイプ)・・・日本の中高女性の約15%
~私はもういいんだけど、お父さんが求めてくるのタイプ~
・性規範(中~低)、性的学習(高)、男性ホルモン値(低)、GSM(低)
・特徴的な発言
・“週に1~2回は、夫が求めてきます。私自身は、そんなに性欲や強くないんですが、夫が求めてくるので応じます。“
・”(夫)夫婦の仲をつなげるためには、セックスは大切だよね。“
⇒すでにカップルにとってセックスは、“白米”のような行為です。つまり
何度しても飽きず、その度に楽しい行為になっています。比較的高齢まで性生活が維持しています。“死ぬまでセックス”のカップルもいます。定期的にセックスしているので女性はGSMにはなりにくいですが、加齢現象として腟萎縮は進行するので、エイジドフェムケア(フェムゾーンの保湿と骨盤底筋トレーニング)は必要です。
さらにパートナーにとっては、セックスは精神的に元気で長生きするために重要なことなので、パートナーがED治療したいと言ったら協力したほうが良いでしょう。
エイジドフェムケアを定期的にしても前述のGSM症状(陰部の乾燥・違和感(イガイガ感)、尿トラブル(再発性膀胱炎・頻尿・尿漏れ)、性交痛他)のセックストラブルの3つの症状が続くようならば、フェムゾーンの女性ホルモンや男性ホルモンの局所投与(オイルやクリームの塗布)が必要ですので、クリニックを受診しましょう。
(パターン4)性生活継続中(Bタイプ)・・・日本の中高女性の15%
~セックスは、美容にも健康にも絶対良いわタイプ~
・性規範(低)、性的学習(高)、男性ホルモン値(高)、GSM(低)
・(特徴的な発言)
・“若い時から自分がセックスは好きなのよ。”
・“セックスは、絶対美容にも健康にも良いわ!”
・“今の彼は、10歳年下で、セックス上手よ。”
⇒GSMにはなりにくいですが、美容と抗加齢のために今後もGSMケアをしっかりしましょう。性的意欲を上げるために男性ホルモンを上げる努力も大事です。週2~3回は運動をしましょう。筋トレは、筋肉内のテストステロン受容体を増やし、その結果血中のテストステロン濃度を上昇させます。またリズム運動で骨からオステオカルシンを分泌させて、これが脳と卵巣・副腎を刺激して男性ホルモンの分泌を促します。また月2~3回は推し活のためにおでかけすると、これも脳を刺激して男性ホルモンの分泌を促します。セックスパートナーがいれば、月3回以上はリアルデートできるのがベストですね。
セックスレスにならないために
セックスレスにならないための10カ条を最後に記載します。詳しい説明は、“セックスレスにならないための10カ条”の記事を参照してください。
セックスレスにならないための10カ条
1)肉・魚・大豆と野菜と良質な油をとる。
2)筋トレと、有酸素運動をする。
3)人間関係ストレスをためない。
4)パートナーとセックス以外の会話もしっかりする。
5)パートナーとセックスの話をする。
6)セックスをする時は、非日常を演出するためお出かけデートをする。
7)エッチな映画、動画、本、漫画をおかずにマスターベーションをして自分の性感帯を自覚する。
8)定期的にセックスする。
9)40歳すぎたら男子はED予防を行う。女性はフェムゾーン(腟と外陰)のケアをする。
10)50歳をすぎて性的意欲の低下を感じたら男性ホルモン&女性ホルモンの補充をする