性交痛で悩んでいます
性交痛で悩んでいます。乳がんサバイバーなのでホルモン剤を服用中。
痛みと出血で最近はずっとできません。パートナーにも申し訳ないです。
もう、女としての機能がないのかなって悲しくなります。
◆セックスというのが、まずは自分が楽しむための行為だ。
“パートナーにも申し訳ない”とか、“女としての機能がないと悲しくなる”とかという発言が、まず気になるね。自己肯定感の低さを感じるよ。ごく普通の家庭で育ち、日本の社会でただ生活しているだけなのに、女性自身が自分に対してネガティブな洗脳を受けて、自己肯定感が低くなっている場合が比較的たくさんあるんだよね。
セックスというのが、まずは自分が楽しむための行為だ。そしてさらにパートナーも楽しめれば、それは最高だ。
“男性器を女性器に入れられなくなったら”、女として機能がなくなると考えているようだが、これも大きな誤解である。男もここを誤解している人はたくさんいるけどね。まず“女”のほうが主体として、挿入にこだわらず楽しめるようにならないと長期的な楽しいセックスはできないんだよね。
しかし女性がセックスを好きになるのは、結構大変なんだ。男性は射精ができるようになった年代から自分をどう刺激すればオーガズムを感じるかの修練を開始するが、女性は学習して練習しないと、なかなかオーガズムを感じられない。
エッチな想像をするなんて女性としてはしたない。フェムゾーン(腟と外陰)を自分で触るのはいけないこと等の洗脳を受けていると、セルフプレジャー(マスターベーション)もしないまま、大人になってしまうことはよくある。
また教育や社会的な洗脳以外にも、セックスには性ホルモンが大きな影響を与える。性ホルモンのうちテストステロン(男性ホルモンのうち一番強いホルモン)は、男性も女性ももっているホルモンなんだけど、これは生きる意欲の向上や筋肉量の増加などとともに、性的意欲をアップさせるホルモンなんだ。
女性の場合は、このテストステロンが生まれつき高い人と低い人がいる。高い人は自発的な性欲があるが、低い人は自発的な性欲は低い。この低い人達は、パートナーから「セックスの希望」があると、それに応じても良いレベルの低い性欲なんだ。そしてこの性欲の低いレベルの人に、性交痛が起こると一気にセックスレスになってしまう。
◆乳がんの治療を受けてる人は要注意
乳がんの治療は、徹底的に女性・男性ホルモンを下げる治療である。それでもともと性欲の低い人が乳がんの治療を受けると、性機能障害になってしまうことが多い。
フェムゾーン(腟と外陰)は女性・男性ホルモンが下がると、血流が低下し、皮膚や皮下組織が薄くなり、腟分泌物がへり、善玉菌である乳酸菌が減ってしまい、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)になる。
GSMに困っている人は閉経後の女性の約半数である。このGSMに乳がんの治療中の人は、閉経前になってしまうことがある。そうすると性交痛や性交後出血などが起こり、痛みをともに性欲が低下する。
そのためセックスしないもんだから、腟の萎縮がさらに進行し、さらに性交痛がひどくなるという悪循環を起こすんだ。
◆性交痛のケア
ケアは、まず毎日の保湿だ。保湿剤は、GSMケアには全身の安い保湿剤でも良いんだが、セックスしたいんだったらフェムゾーン専用のちょっと高級品を勧める。
腟の入口部から指2本分くらい奥までを腟前庭部というが、大陰唇や小陰唇だけではなくフェムゾーン(腟と外陰)の中央部分のクリトリス、尿道、腟前庭部もしっかり保湿する。保湿したついでに、腟に入れた指でしこって痛みがある骨盤底筋を、やさしくもみほぐす。さらにその挿入した指を締めて胃のほうに持ち上げるように骨盤底筋を収縮させて、骨盤底筋の収縮力に異常がないことを、毎日チェックしよう。
そして定期的なセックスを楽しむ。潤滑剤はたっぷり使用すること。プレイだからな。もっとも重要なのは、パートナーに痛い時と痛い場所をしっかり言うことだ。もちろん気持ちよい時は、もっとそれをしてくれと要求しても良いよ。女性側がこれができないためにセックスレスになってしまうカップルは非常に多い。痛みも快感も、言葉で言わないと伝わらないよ。
具体的には、腟マッサージをパートナーにしてもらっても良い。潤滑剤をたっぷりつけて、痛みが和らぐように優しくマッサージしてもらう。まずはクリトリスマッサージをしてもらって、女性が充分に興奮してから腟の中をさわってもらう。挿入にこだわってはだめだ。男子が挿入を望んだら、フェラチオしてやれ。男子は実はフェラチオのほうが好きな奴が多い。腟より口のほうが刺激は強いからな。でもフェラチオしてやったら、クンニリングスもしっかりしてもらおう。気持ちの良いセックスは対等な男女関係じゃないと楽しめないよ。
挿入はしなくてもよいが、するなら女性上位(騎乗位)が良い。痛みも快感も女性主導でコントロールできるからな。ポルチオ性感なんてもんは、女性上位でじっくり子宮の後側を刺激して、脳に快感を覚えさせないと、そう簡単には得られるもんじゃないよ。
とにかく、カップルでどうしたら女性側が苦痛なく、快感を得られるかを話合おう。
それでもダメなら、いよいよクリニックへ相談だ。フェムゾーンに限った弱い女性ホルモンの使用や、少量の男性ホルモンの使用はほとんど乳癌の再発に影響しない。また、最近はレーザー治療なんてのもある。パートナーと一生セックスしたいんなら、それ相応の努力と出費が必要だよ。
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