
「骨粗しょう症」について詳しく解説していきます。①
※本記事は、医師による執筆記事です。
「骨粗しょう症」とは?
さて今回は、骨粗しょう症です。
骨粗しょう症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり骨折しやすくなる病気です。男女比は約1対3で、女性が男性の約3倍です。日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。
骨量に関しては、骨密度で評価されることが多いです。骨は常に代謝されていて、破骨細胞に壊されて骨芽細胞によって作られています。性ホルモン(男性ホルモンと女性ホルモン)が低下すると、この代謝のバランスが崩れて壊される傾向にかたよります。
男性も女性も、男性ホルモンと女性ホルモン両方を持っており、そのバランスが男女で違います。性ホルモンの主な代謝経路は、コレステロール⇒DHEA⇒男性ホルモン⇒女性ホルモンです。男性は男性ホルモンが多く、女性は閉経前は女性ホルモンが多いです。そして男性の男性ホルモンは、ゆっくり低下していきますが、女性の女性ホルモンは、51±5歳で起こる閉経の後は、閉経前の10分の1に減少します。閉経後は、相対的な男性ホルモン優位になるのですが、その量は男性ホルモンも男性の5分の1から10分の1程度と少ないため、閉経後の女性は、女性ホルモンも男性ホルモンも少ない状態になります。それで閉経後の女性は、骨粗しょう症になりやすいわけです。
骨粗しょう症の特徴
骨粗しょう症の特徴としては、
・体重が軽い人のほうが体重が重い人より、骨粗しょう症になりやすい。
・成長期に低栄養が続いた人のほうが骨粗しょう症になりやすい。
・運動の習慣のない人のほうが骨粗しょう症になりやすい。
・北に住んでいる人のほうが南に住んでいる人より骨粗しょう症になりやすい。
・親が骨粗しょう症の人のほうが、骨粗しょう症になりやすい。
等の傾向にあります。
この骨密度ですが、万能ではなく、糖尿病や腎臓病などの慢性疾患を長期に患っている人は、骨密度では評価できない“骨質”の低下のため、骨密度がそんなに悪くなくても骨折が起こりやすくなります。
骨粗しょう症になっていても、痛みはないのが普通です。しかし転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、せぼね(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。また背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。高齢になっての骨折は痛みのために動けなくなり寝たきりになることがあります。それで高齢女性の寝たきりの原因の第1位は、骨粗しょう症です。
次回は、骨粗しょう症の診断・予防について解説をしていきます。
ぜひチェックしてみてください。