男女の更年期障害のメカニズム・症状について解説
※本記事は、医師による執筆記事です。
男女のホルモン比率について
男性も女性も、男性ホルモンと女性ホルモンの両方を持っています。
違うのはバランスです。男性は男性ホルモンを女性ホルモンより多くもっていて、女性は女性ホルモンを男性ホルモンより多くもっています。男性ホルモンは、男女とも年齢に比例してすこしずつ減少していきます。
男性ホルモンに関しては、遺伝的に年をとっても男性ホルモンが高い人と、若くして低くなってしまう人がいるという特徴があります。
女性ホルモンの変化
一方女性の女性ホルモンは、16歳くらいから血中濃度が上昇し、45歳までは高値が維持されます。
この性成熟期は、周期的に女性ホルモンがアップダウンすることで排卵が起こり、妊娠します。妊娠しないと生理(月経)起こります。これは30日周期で繰り返されます。
45歳くらいから女性ホルモンの分泌は不規則に低下し始め、55歳くらいまでには45歳以前の10分の1程度の血中濃度になります。この時期が更年期です。この時期に起こるめまい、不眠、痛み、かゆみなどの自律神経失調症状や、抑うつやイライラ・不安などの精神神経症状を更年期障害といいます。
更年期障害の症状
更年期障害の症状は大きく3種類に分けられます。
①血管の拡張と放熱に関係する症状
ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など
②自律神経失調症状や知覚過敏症状
めまい、動悸、胸が締め付けられるような感じ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさなど
③精神神経症状
気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など
これらが複数起こりますが、検査しても他の病気はないことが特徴です。
また閉経後3年程度経ると、それぞれの症状は自然に軽快していくのも特徴です。女性ホルモンが低いことに心身ともに慣れるためです。
その後に注意しなければならないのは、ポスト更年期のトラブルです。ポスト更年期の女性は、男性よりも女性ホルモンも男性ホルモンも低い「性ホルモン低下状態」になりますので、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)の悪化、骨粗しょう症、認知症、そしてフェムゾーン(腟と外陰)のトラブルをケアしていく必要がでてきます。
次回は、更年期障害の治療について詳しく解説していきます。
是非チェックしてみてください。