フレイル・サルコペニアにならないために
※本記事は、医師による執筆記事です。
はじめに
通常女性の病気の説明をする時は、小児期⇒思春期⇒性成熟期⇒更年期⇒円熟期⇒高齢期 という順番で説明することが多いのですが、このシリーズではあえて反対に高齢期⇒円熟期⇒更年期⇒性成熟期⇒思春期⇒小児期 の順番に書いていこうと思っています。
いつか自分がかかるかもしれない病気の情報を早めに知っていたほうが、これからの人生に関する知識の向上につながる人が増えるからです。
さて各論の記念すべき第1回は、フレイルとサルコペニアです。
フレイルとは
可動制限や認知機能低下、低栄養、尿もれ、抑うつ、全身痛、易感染等が重なって、老年症候群に陥った人は、フレイルになって行きます。
フレイルとは身体的な虚弱のことで、りっぱな医学的な症候群です。70歳以上に起こることが多く、特徴は以前の5%以上の体重減少を認めることです。
定期的な軽い運動や体操をしていない人に起こりやすく、体重の減少とともに握力の低下や歩行速度の低下も起こります。わけもなく疲れたような感じがするのが問題です。フレイルは、予防や治療が可能です。
サルコペニアとは
サルコペニアとは、全身の筋肉量の低下と筋力低下による身体能力の低下のことです。サルコペニアになると、転倒・骨折のリスクが増大、日常生活の活動能力(ADL)の低下がおこり、心身の活動性が低下するため、免疫力も低下して死亡リスクが高まります。
フレイル・サルコペニアにならないために
まずは週2~3回の40分以上の運動習慣をつけることが重要です。この運動の中には、速歩やジョギングなどの心拍数を上げる運動と筋肉に負荷をかける筋肉トレーニングを組み合わせるのが良いとされています。
さらに高齢者になると食事の量や消化能力が低下してくるので、食事毎に毎回、良質のタンパク質(肉・魚・大豆等)を意識して摂取することが必要になります。
それでもフレイル・サルコペニアが進行してしまう場合は、男性ホルモンであるテストテロン補充がよいでしょう。テストステロンを補充すると、筋肉量が増え生きる意欲(バイタルエナジー)が向上します。テストステロン補充は、欧米では高齢者に一般的なホルモン補充療法です。テストステロン補充は、安全なホルモンで、医師の管理の下、男性も女性も行うことができます。