【連載】いくつになっても男と女④
その4 デリヘルを利用するお客は何を求めているの?
「どんなお客様でも、私はお客様に合わせます。エッチはできる人とできない人がいます。できるけど、射精できない人もいます。そうなるとある程度は勃ってもゴールがないですから、365日悶々としているなら大変だろうなと私は想像しています。70代はできる人の割合がまだ多いです。勃つかどうかを不安にかられて試しにくるのは若い方で、ある程度の年齢になってくると、自分が「できない」とわかっています。でもセックスの真似ごとはしたい。薬でなんとか勃起しても、前立腺の病気などの事情で射精ができないみたい。私は病気には詳しくないですけど、まあ無理ですね……。なので、高齢の方はスキンシップをしながら話を聞いてほしいというニーズがほとんど。お風呂に一緒に入って、体を洗ってあげます。オーラルも求められれば、仕事なのでやります」
できないのか、やりたくないのかは曖昧な部分もあるが、さまざまなお客がいるとA子さん。
「ご両親のために介護離職した40代の方がいました。毎週呼ばれてホテルに行くのですが、何もしない。一切触れません。だったら喫茶店でと提案したのですが、ゆっくりできないと。それで何を話すかといえば、陰謀論について延々(苦笑)。誰にも言えないからと毎回3時間たっぷり。ちょっと心配になっちゃいました。他には、自分で持参したギター弾いているだけの、70代で大手企業役員さんとか。人前だと緊張してしまうので、私に聞いてほしいと言っていました」
求めているものは実にさまざまで、性欲を満たすだけでもなさそうだ。
「80代、90代越えのお客様は年を隠します。杖をつく姿も恥ずかしいと、私には見せないように気を配ります。尿漏れパットしている人もいらっしゃいますが、男性はそういった弱みを徹底的に隠します」
いくつになっても男は見栄をはりたい生き物なのだろうか。いや、モテたい、気に入った相手に良く思われたい気持ちこそが、生きるパワーにつながっているのかもしれない。
「高齢のお客様は、人肌が恋しいのだと思います。男性は年をとると、どんどん孤独になります。初対面の方とおしゃべりできなくなり、コミュ障化が進んでいきます。女性のように意気投合した人と、一緒に旅行に行くなんて、そうそうできないですよね」
孤独を癒してくれる善良な風俗嬢にたまたま巡り出会えた高齢者は幸せなのかもしれない。
さらに興味深い話は次回。