知っておいて損はない!乳がん術後「乳房再建」の選択肢
「乳房再建術」という言葉をご存知でしょうか。
乳がんの治療で胸の形が変形した場合に、胸の膨らみを新たに作ったり、左右のバランスを整えたりする手術のことです。
今や乳がんは、日本女性の9人に1人が罹患する時代。
知っておいて損はない乳房再建術について、詳しくご紹介していきます。
乳房再建術とは
乳がんに罹患すると、治療のために乳房を全て切除する「全摘術」や、腫瘍の周辺を切除する「部分切除術」などの手術が必要な場合があります。
病状によって手術方法は異なりますが、いずれにせよ胸の膨らみを失ったり胸が変形したりと、女性にとって抵抗がある手術に変わりはありません。
そんな乳がんの術後でも、胸の形を整えられるのが乳房再建術です。
● 乳がん術後用の胸パッドを使用しなくて済む
● 左右差がなくなることで下着や洋服を楽しめる
● 女性としての自信を取り戻して前向きな気持ちになれる
など、乳房再建術には多数のメリットがあります。
乳房再建術の方法
①自家組織による乳房再建術
患者さん自身のお腹や背中の組織を、乳房に移植する方法です。
手術時間や入院期間が長く傷跡も残ってしまいますが、自分の組織なので温もりがあり、姿勢によって形が自然に変化するのがメリットです。
②インプラントによる乳房再建術
シリコンで作られたインプラント(人工乳房)を胸に挿入する手術です。
場合によってはエキスパンダー(皮膚拡張器)を使用して、胸の皮膚を十分に伸ばしてからインプラントを挿入することもあります。
自家組織による乳房再建よりも手術時間や入院期間が短く、体への負担も小さいのがメリットです。
一方、人工物のため、やや硬く体温を感じにくい点、姿勢によって形が変化しない点がデメリットとして挙げられます。
乳房再建術を受けるタイミング
①乳がんの手術と同時に行う「一次再建」
乳がんの手術と同じタイミングで乳房再建術を行うことを「一次再建」と言います。
手術回数が少なく済むので心身の負担を抑えられ、胸を失う喪失感が少ないのがメリットです。
ただし、乳がんの手術は乳腺外科医、乳房再建術は形成外科医が手術を行うため、両者が連携できる医療機関でないと受けることができません。
②乳がんの術後に期間を空けて行う「二次再建」
乳がん手術を行った後、一定期間を空けて乳房再建術を行うことを「二次再建」と言います。
まずは乳がんの治療に専念できることや、本当に乳房再建術が必要かどうかを熟考できることが利点です。
一方デメリットとして、一次再建よりも手術回数や入院回数が多くなるため、身体的・経済的負担が大きくなってしまうことが挙げられます。
まとめ
乳がん治療後の選択肢のひとつとして、知っておいて損はないでしょう。
なお乳房再建術を希望される方は、かかりつけの主治医や乳腺・形成外科専門医にご相談ください。