子宮頸がんワクチンは何歳でも打つべき?
子宮頸がんの予防とともに、尖圭コンジローマという難治性の性行為感染症(性病)の予防にもなります。
世界的には、男児にも適応がひろがっています。
ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)感染予防ワクチンによって子宮頸がん以外のがん(喉頭がん、咽頭がん、食道がん、肛門がん、陰茎がん)の予防にもなるからです。
2022年現在2価と4価のワクチンは、小学校6年~高校1年まで公費対象ですが、いまやこころある親は、自費で9価ワクチンを娘に注射しています。息子に関しては、日本で認可されている9価ワクチンはまだ適応がないですが、輸入品を打つことは可能です。
さてこのHPVワクチン、セックスを経験する前に打つのが原則です。
セックスすると高率にHPVに感染してしまいます。感染してからワクチンを打っても無駄といわれています。
20~30代のセックスをたくさんする年代の女性は、ほぼ全員といっていいほどHPVに感染歴があると考えていいでしょう。その一部がガン化して子宮頸がんが発症します。
しかし多くの場合、40歳以降はHPVに対する免疫ができて、検査してもHPVが検出されなくなります。そしてその後しばらくはHPVにかかりません。
ですから以前から、セックスの回数がへる50歳以降は、HPVワクチンを打つのは意味がないと言われていました。私も、2価、4価のワクチンが発売された当時は、そう思いワクチンはうちませんでした。
しかし9価ワクチンが発売された当時ちょっと考えを変えました。
HPVに感染して治り、免疫力ができていても、その免疫力は、一生あるわけではないということが分かったからです。加齢すると免疫力は、総じて落ちていきます。
さらに人生100年時代、女性ホルモンの局所投与でフェムゾーンの老化を防ぎ、男性ホルモンの全身投与で性的意欲も維持できている女性が、50歳以降でも新たなセックスパートナーと出会うことは、頻繁にあるのではないかと気がつきました。
そうするとHPVへの免疫力が落ちた状態で、あらたなパートナーとセックスして、尖圭コンジローマを発症したり、10年~20年後の80~90歳くらいの時に子宮頸がんになることもあります。
それが予防できる可能性があるならば、50歳以上でも9価のHPVワクチンを打ったほうがよいのではないかと考えたわけです。
それで私は、56歳で9価のHPVワクチンを打ちました。