女性のセックスレスの原因はパートナーとの関係?
これも愚痴ですね。
私は、性機能障害という疾患を扱っていますので、この病気の特殊性が分かります。
他の病気は自分だけが何とかすればいいのですが、セックスの問題の裏には必ずパートナーがいるんです。
小児科診療や学校の先生が大変なのは、子供の問題を扱う場合は、その親の問題と対峙しなければならないからです。
それと似ています。
セックスなんてものは、生殖が終わった男女に関しては、したい人はして、したくない人はしなければ良いものです。
ですから、カップルの両方がセックスしたいラブラブカップルと、両方がしたくないセックスレスカップルは、医学的には治療対象にはなりません。
カップルのどちらかがセックスしたくないか、もしくはしたくてもできなくて、もう片方がセックスをしたくてできる場合が治療の対象となります。
男性の治療は比較的簡単なんです、セックスしたくない場合も、セックスしたくてもできない場合は治療可能です。
一方女性は、したくない原因の7割くらいが、パートナーとの関係性等の心理的な問題です。
これは薬ではなかなか直せません。パートナーとの関係性の問題は、多種多様。
これは、セックスしたくなくて当然でしょうという例として思い出すのは、70代女性で夫には愛人がいて、長年セックスは愛人としていていて、夫婦間はセックスレス。
しかし愛人が死亡してしまい、夫に30年ぶりくらいにセックスを強要されたというがありました。
一方、80歳くらいの女性で一度もオーガズムを感じたことがないという主訴の人に、夫にそれを正直に言えと指導したところ、夫が“なんでそのことを早く言わないんだ!!”と言って、書道の筆を買ってきたという、まあ微笑ましい例もありました。
現在は、心理的な問題ではない女性の性的意欲障害は内服薬で治療可能な時代になっています。