
恋愛から読み解く名作戯曲
自分は東京の大学で演劇を学んでいる学生です。
これから、よろしくお願いいたします。
さて、突然ですが皆さんは『ハムレット』というお話をご存知でしょうか?
名前を聞いたことはあるけど、どんなお話なのかはよく知らないな...という方が多いのかなと思います。
魅力のギュッと詰まった素敵な作品なのですが、なかなか目に触れる機会の少ない作品でもあります。
なぜでしょうか?
まず一つ、このお話が「戯曲」という形式であることが大きな理由かと思われます。
タイトルへの回答になりますが、戯曲というのは「舞台で上演されるために書かれた演劇の台本」のことを言います。
つまり、
照明が点くと、ある高校の教室。時刻は午前8時ごろ。
2人の男が向かい合って話している。
○○「今朝何食べた?」
□□「唐揚げとステーキ」
○○「朝から重くね?」
といった感じの文章のことです。
普段目にする新聞や小説・エッセーと比べると、あまり慣れない書き方になります。
これくらいなら簡単に読めますが、もう少し長くなるとかなり読みづらく、やっぱり手に取りづらいんですよね。
もちろん『ハムレット』の読みづらさの理由はそれだけでなく、お話自体の長さや、複雑なテーマ性、入り組んだ人間関係など、「一歩踏み入れてしまえばワクワクが詰まっているのに、その一歩目が難しい」というような要素を、『ハムレット』は沢山抱えています。
そしてそれは、残念なことに、他の多くの名作戯曲と呼ばれる作品に共通した問題でもあります。
そこで!
今回から、名作戯曲たちの内容と魅力を「恋愛」という観点から切り出して、皆さんが戯曲という世界に足を踏み出す一歩目となれるような内容をお届けしたいと考えております。
ちなみに、シェイクスピア劇の演出で著名な出口典雄先生は「シェイクスピアは”誰が誰を愛するのか“、そして”誰が誰を殺すのか“という二つの話しか書かなかった」と仰ったそうです。
その2つのうちの1つ、「恋愛」という観点から戯曲を紐解いていくというのは、決して突飛な発想ではないと思います。
皆さんに戯曲の世界を楽しんでいただけますよう書いていきますので、お付き合いいただければ幸いです。
次回からは早速『ハムレット』を読み解いてまいります。
お楽しみに!