
閉経後にGSM治療を怠ると性欲が落ちる?
更年期には、このエストラジオールのアップダウンが不規則になり、メンタルや自律神経のトラブルが出現しますが、閉経するとこれらのトラブルはすっきり解消します。
閉経すると排卵しなくなり、妊娠しなくなるので、女性の性的意欲は失われると考えている人がまだまだ多いのですが、そんなことはありません。
なぜならば性的意欲の根源は男性ホルモンだからです。
つい50年くらい前までは、女性には性的意欲が無いと言い切ってはばからない時代が長く続きましたが、女性の性的意欲は、性的成熟とメンタルに大きく影響されます。
性的に成熟した女性が、親密であると認識する相手とでなければ、性的意欲は起きないんですよね。男性が、ペニスを刺激すればとりあえず興奮する人が多いのとは、大きな違いです。
男性ホルモンの代表はテストステロンですが、このテストステロンは、女性の場合は、卵巣と副腎から分泌されます。
男性の約10分の1くらいの量が分泌されていますが、男女とも個人差が大きいのが特徴です。そして男女とも加齢ですこしずつ低下していきます。
女性の場合も、女性ホルモンと違い閉経で急速に低下するわけではありません。
むしろ女性ホルモンが急速に低下するのに男性ホルモンに変化がないので、相対的な男性ホルモン優位になり、性欲が増加する人がいます。
妊娠の心配がなくなるというのも、性欲が高まる、大きな要因なのです。
しかし、女性ホルモンの急激な低下によってフェムゾーン(膣と外陰)の萎縮が起こりGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)となります。
性交時痛や、性交後出血、性交後膀胱炎などが起こるようになると、そのことで性的意欲が下がってしまう人がいます。
GSMは、閉経後の女性の50%近くに起こります。
最初のうちは性的意欲はあるのに、局所の問題でセックスできないという状態の人が多いと考えられますが、これを数年放置すると性的意欲が低下してしまいます。
ですから閉経前後からの性交痛に関しては、早めの治療が必要です。